自動車の認定工場と指定工場の違いとは?それぞれの特徴と仕事内容を解説!
2022/04/21
自動車の点検や整備を行う整備工場は、認定工場と指定工場の大きく2つがあります。
どちらも運輸局の承認を得て営業していますが、その違いがよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
それぞれの違いや特徴をご紹介し、どんなタイプの人が各工場で働く適性があるのか解説します。
目次
認定工場と指定工場の違いとは?
認定工場と指定工場の大きな違いは、車検検査ができるかどうかです。
認定工場では、工場内で車検ができず、自動車検査登録事務所や車検が認可されている車検場への持ち込みとなります。
一方、指定工場は保安基準を満たしているため、工場内で車検が可能です。
保安基準とは:自動車構造の装置・性能に関する安全と公害防止のための技術を基準化したもの。
参照:国土交通省
認定工場の特徴
認定工場は「認証工場」に属しています。
「認証工場」とは、一定規模の作業場・機械・分解整備ができる従業員を有する工場であり、地方運輸局長が自動車分解整備事業の認可をした工場を指します。
「認証工場」が運輸局に申請を出し、優良と認められれば、認定工場となります。
それぞれの工場には人員配置にも特徴があります。
認定工場の人員配置の条件は次の通りです。
【認定工場の人員配置条件】
- 分解整備に関する従業員2名以上
- 整備士資格(1級or2級)有資格者が最低1名いること
- 従業員の4分の1以上が整備士資格(1級or2級or3級)を有していること
また、認定工場に必要な作業場と設備はこちらです。
【作業場と設備】
- 車両整備作業場
- 点検作業場
- 部品整備作業場
- 車両置き場
- 点検整備に必要な機器
認定工場でできること
認定工場では、次のようなことができます。
認定工場でできる業務内容は指定工場よりも範囲が狭いのが特徴です。
- 部品の交換
- 点検整備
- 分解整備
- 塗装・修理
分解整備:原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、連結装置を取り外して行う自動車の整備又は改造のこと。(道路運送車両法第49条第2項、同施行規則第3条)
車検は実施できないため、点検や整備をした車を車検場に持ち込むなどの業務が発生する場合があります。
指定工場の特徴
指定工場の人員配置は認定工場とは異なり、下記の通りです。
【指定工場の人員配置条件】
- 従業員が5名以上いる
- 自動車検査員が1名以上いる
- 整備士資格(1級or 2級)保有者が最低1名はいる
- 従業員の3分の1以上が整備士資格(1級or 2級or3級)を有していること(従業員数が多い場合)
上記の他、さらに技術者の配置もされています。
- 事業場管理責任者
- 主任技術者
- 自動車検査員
他には面積や施設、設備に関しても次のような条件が設定されています。
- 施設の面積(車両整備作業場、点検作業場の面積×0.3以上)
(*車両整備作業場、点検作業場の面積は道路運送車両法に規定に基づいた面積)
【作業場と設備】
- 車両整備作業場
- 点検作業場
- 部品整備作業場
- 車両置き場
- 完成検査場
- 点検整備に必要な機器
- 検査に必要な機器
指定工場と認定工場を比較すると、人員配置や基準などの条件は高水準となっています。
指定工場でできること
指定工場では、次のようなことができます。
- 定期点検・整備
- 塗装・分解整備
- 車検検査
指定工場は自動車の点検・整備に関することをトータルで実施可能です。
「民間車検場」と言われるほど、車検場と同等の検査ラインを持っていることが多く、ディーラーや車検専門業者の整備工場はほぼ指定工場となっています。
業務内容と働くメリット・デメリット
ここからは、それぞれの工場の主な整備業務の内容と、働く上でのポイントについて解説します。
認定工場の業務内容
【認定工場での整備】
- 点検整備
点検整備は主に車検前に行なわれることが多い整備のひとつです。
6ヶ月点検、1年点検など定期的な点検も含まれています。
オイルやタイヤの交換、劣化や不具合がないかなどをチェックするものです。
日常的に点検することで事故を防ぐ役割があります。
- 緊急整備
緊急整備は故障や事故の際に部品を交換・修理する整備です。
- 特定整備
特定整備は主にエンジンやミッション関連を整備します。
スキャンツールをつないでのエーミングやカメラ・レーダーの取り外しなど、電子制御装置なども含まれます。
車の安全な走行に影響する重要な整備です。
上記以外には車検ができないので、車検場への持ち込みなども業務になります。
認定工場で働くメリット、デメリット
認定工場で働くメリット
- 自動車整備の幅広い知識と技術が身につく
- 整備工場によっては修理・整備に特化できる
認定工場で働くデメリット
- 修理や点検以外の接客業務などもこなさなくてはならない可能性がある
- 車検検査場に車を持ち込む業務が発生する場合がある
指定工場の業務内容
指定工場の業務は、認定工場の業務内容の他に車検検査があります。
車検そのものに加え、車検のための点検整備がメインとなり、修理や塗装などの業務はやっていない場合もあります。
ディーラーの指定工場なら修理等を受け付けている場合もありますが、指定工場でも整備業務のすべてを網羅しているとは限りません。
指定工場で働く際は、故障時の修理やオイル交換など部品交換も業務内容に含まれているか、確認しておきましょう。
指定工場で働くメリット、デメリット
指定工場で働くメリット
- 点検・整備・車検検査まで一貫した業務ができる
- ディーラーの整備工場の場合、特定メーカーの車に特化できる
指定工場で働くデメリット
- 業務のメインが車検検査の場合、ルーティンワークになる可能性がある
- 納車や接客業務など行う場合がある
働くならどっち?タイプ別おすすめ工場
整備士として実際に働くなら、どちらの工場が向いているのかをチェックしていきましょう。
認定工場向きのタイプはこんな人
認定工場で働くためには、小さなことも見逃さない観察力や注意力が求められます。
自動車の点検や修理などを行う際、小さなミスが大きな事故につながる可能性があるため、丁寧な作業が大切です。
また、車の整備や修理の内容を直接お客様に説明することもあります。
お客様に対して専門用語をなるべく使わず、整備の状況をわかりやすく伝えるコミュニケーション力が必要です。
タイヤなどの重量のあるものや大きな部品の交換もあるため、体力があるとなお良いでしょう。
指定工場向きのタイプはこんな人
基本的には、認証工場と共通する部分も多い仕事です。
観察力、注意力、コミュニケーション力、体力がある人材は重宝されるでしょう。
指定工場の業務の範囲は、修理、点検や整備、車検など自動車の整備にまつわるほぼ全てを網羅しています。
そのため、自動車整備の業務内容を一から把握したい方、基礎的なことから学びたい方に適しています。
また、車検の最終段階である「完成検査」ができる資格、自動車検査員を目指す方は、指定工場が向いています。
自動車検査員の資格を活かすなら指定工場
「自動車検査員」は民間の車検工場で車検検査もできる国家資格です。
整備工場では重宝される人材と言えます。
「自動車検査員」の資格を取得すると、できる業務の内容も広くなり、職場選びの幅も広がります。
「自動車検査員」は国家資格であり、公務員が担う業務もできるので「みなし公務員」とされています。
責任範囲も広く守秘義務など細かい規定もありますが、その分目指す価値のある有意義な資格となっています。
まとめ|それぞれの違いを知り、働く場所を選ぼう
今回は認定工場と指定工場の違いと、それぞれの特徴、仕事の内容について解説してきました。
認定工場と指定工場は、車検検査ができるかどうかが大きな違いとなっています。
どちらの整備工場も点検整備、緊急整備、特定整備、部品交換、定期点検、修理等ができる点は共通しています。
働く上で求められるスキルは、観察力、注意力、コミュニケーション力など、大きく差はないため、どちらを目指す方も安心ですね。
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