自動車整備士は資格が必要?資格の種類・取り方・仕事を徹底解説! | 株式会社ダウイン

自動車整備士は資格が必要?資格の種類・取り方・仕事を徹底解説!

2021/10/13


目次





自動車整備士は国家資格

整備工場で働く自動車整備の仕事は、資格がなくても行うことは可能です。
しかし、エンジンやモーター、サスペンションなどを分解して行う複雑で時に危険を伴うような整備には、国家資格が必要なため、自動車整備士としてプロフェッショナルを目指すのであれば資格の取得は必須です。

また整備工場の多くが、資格を保有していることを採用条件としているため、無資格の場合、就職できる整備工場が限られてしまいます。そのため、実際には自動車整備士のほとんどが、国家資格を取得しています。

自動車整備士として活躍したいとお考えの方は、まずは国家資格取得を目指しましょう!



自動車整備士の仕事とは

自動車の点検や修理、メンテンナンス、分解や組み立てなどを行うのが自動車整備士の役っ割です。
自動車整備士の仕事は、主に「点検整備」「分解整備」「板金・塗装」の3つに分かれています。

その他にもタイヤやオイルの交換、オプションの取り付け、お客さま案内など、自動車整備士は幅広い仕事に携わっています。

ここでは、自動車整備の3つの主な仕事について詳しく解説していきます。
 

点検整備とは

点検整備は、事故を防ぐためパーツの劣化状態を確認し自動車の安全性を点検する仕事です。
6ヶ月ごとに行われる法定点検が点検整備の仕事の代表です。

【点検整備の主な業務内容】
・ハンドル操作、ブレーキの点検
・ホイールシリンダなどの液漏れや摩擦、劣化の点検
・サスペンションの緩みや損傷の点検
・オイルやフィルターの汚れや劣化の点検 など
 

分解整備とは

分解整備はその名の通り、自動車のパーツを取り外し、分解して修理する整備のことです。
点検整備で不備が発生した場合に原因を探るため分解整備を行うほか、事故や故障などによる損傷が激しい時には、大がかりな分解が必要な場合もあります。

【分解整備の主な業務内容】
・エンジンを車体から外して行う整備
・ドライブシャフトなどの動力伝達装置を外して行う整備
・走行装置や操縦装置、制動装置を外して行う整備 など
 

板金・塗装とは

板金・塗装は自動車のボディに関わる業務を指します。
板金はへこみやキズ、ゆがみの修復、塗装はボディの下地処理や磨き処理などを含め、カラー液でボディの塗装を行います。
なお、板金・塗装の業務は無資格でも行えるものが多いのが特徴です。

【板金・塗装の主な業務内容】
・車体の外側にあるパネルを修復する外板板金
・フレームや骨格の修復
・損傷の激しいパネルの取り換え
・塗装下地~塗装~磨き など



自動車整備士になるには

自動車整備士として活躍する人の多くが、自動車整備士の専門学校を卒業しています。
もちろん、専門学校を卒業していなくても自動車整備士になることはできますが、得られる資格や受験できる時期が大きく異なります。
なお、資格の詳しい種類については後述の「自動車整備士資格の種類」で詳しく解説します。
 

自動車整備士専門学校を卒業した場合

自動車整備専門学校には「2年制の2級自動車整備コース」「4年制の1級自動車整備コース」があります。

■「2級自動車整備コース」の場合:卒業と同時に2級自動車整備士の受験資格取得⇒実務経験3年⇒1級自動車整備士の受験資格取得

■「1級自動車整備コースの場合」:2年終了時に2級自動車整備士の受験資格取得⇒卒業時に1級自動車整備士の受験資格を取得
 

自動車整備士専門学校以外を卒業した場合

自動車整備士専門学校を卒業していなくても、工業高校や大学の機械科などを卒業することで、自動車整備士の受験資格を得られる場合もあります。
ここでは、「工業高校(自動車科)を卒業した場合」「工業高校(自動車科以外)、大学の機械科を卒業した場合」「その他の学校を卒業した場合」の3つのパターンについてご紹介します。

■工業高校(自動車科)を卒業した場合:卒業と同時に3級自動車整備士の受験資格取得⇒実務経験2年⇒2級自動車整備士の受験資格取得⇒実務経験3年⇒1級自動車整備士の受験資格取得

■工業高校(自動車科以外)/大学の機械科を卒業した場合:実務経験6ヶ月⇒3級自動車整備士の受験資格取得⇒実務経験2年⇒2級自動車整備士の受験資格取得⇒実務経験3年⇒1級自動車整備士の受験資格取得

■その他の学校(高校以上)を卒業した場合:実務経験1年⇒3級自動車整備士の受験資格取得⇒実務経験2年⇒2級自動車整備士の受験資格取得⇒実務経験3年⇒1級自動車整備士の受験資格取得



自動車整備士資格の種類

自動車整備士の資格には、1級・2級・3級自動車整備士と、特殊整備士があります。
保有する資格によって携われる業務範囲も変わってくるため、自分自身が携わりたい業務内容や、将来的なキャリアも踏まえて、資格取得を検討すると良いでしょう。

ここでは、それぞれの資格の特徴や概要、携われる業務について解説していきます。


3級自動車整備士

3級自動車整備士には、「3級自動車シャシ整備士」「3級自動車ガソリン・エンジン整備士」「3級自動車ジーゼル・エンジン整備士」「3級二輪自動車整備士」の4つの種類があります。
その名の通り、それぞれシャシ(自動車のエンジンやボディを除いた箇所)・ガソリン車・ディーゼル車・二輪自動車に特化した整備を行う資格です。

3級自動車整備士は、点検、エンジンオイルやタイヤの交換、カー用品の取り付けなど、基本的な整備を行うことができます。
ただし、エンジンやブレーキやサスペンションなどの分解整備は、3級自動車整備士の単独では行うことができません
3級自動車整備士は、自動車整備士のスタートラインという位置づけになります。
 

2級自動車整備士

2級自動車整備士も、3級と同じく「2級自動車シャシ整備士」「2級自動車ガソリン・エンジン整備士」「2級自動車ジーゼル・エンジン整備士」「2級二輪自動車整備士」の4つに分類されます。
2級自動車整備士は、2002年に1級自動車整備士試験が開設されるまでは最上位の資格として位置づけられており、自動車整備のほぼすべての業務を行うことができます
また、多くの自動車整備士が保有している資格のため、自動車整備士として長くキャリアを積んでいくのであれば、2級自動車整備士は取得しておいた方が良いでしょう。
 

1級自動車整備士

1級自動車整備士は2002年に新設され、「1級小型自動車整備士」「1級大型自動車整備士」「1級二輪自動車整備士」の3種類があります。
3種類あると言っても、実際には「1級大型自動車整備士」「1級二輪自動車整備士」の試験は実施されたことがなく、実質、1級自動車整備士=「1級小型自動車整備士」ということになります。

前述の通り、2級を取得していれば、自動車整備士としてのほとんどの業務を行うことができるため、1級を取得しても業務内容に大きな差はありません。
ただし、1級自動車整備士試験では、2級以上に細かい法令知識が求められたり、電気自動車やハイブリッド車などの専門知識も必要となるため、より高度な知識や技術を身に付けたいと考える方は取得すべき資格です。
また、1級自動車整備士は、整備士の育成や指導を行う立場としても期待されています。
 

特殊整備士

特殊整備士は、「自動車タイヤ整備士」「自動車電気装置整備士」「自動車車体整備士」の3つに分類されます。
資格名の通り、それぞれのパーツに特化した整備を行う資格です。

2級以上の資格があれば、整備全般を行うことができますが、特殊整備士を取得することで、特定のパーツを専門的に整備することができるようになります。



自動車整備士資格の難易度

自動車整備士の資格は国家資格のひとつのため、取得するのは決して容易ではありません。
しかし、専門学校や高校・大学で専門知識を学んだり、実務経験を積んだ上で受験するため、全体の合格率は、平均して40~70%と比較的高いのが特徴です。

1級自動車整備士の合格率:20~50%
2級自動車整備士の合格率:70~90%
3級自動車整備士の合格率:50~70%

ちなみに、令和2年10月に行われた試験の合格率は、2級自動車整備士(ガソリン、ディーゼル、2輪の平均)が59.5%、3級自動車整備士(シャシ、ガソリン、ディーゼルの平均)が73.2%でした。

2級は専門学校を経て受験する人が多いのに対して、3級は一般受験する人も含まれることから、毎年2級よりも3級の方が若干合格率が低くなっているようです。



自動車整備士資格の試験の流れ

自動車整備士の資格試験は、日本自動車整備振興会が実施する「自動車整備技能登録試験」を受験して取得するのが一般的です。

自動車整備士の国家資格取得には、「自動車整備振興会への受験申請」⇒「登録試験を受験」⇒「合格後2年以内に全免申請」⇒「合格証書取得」の4つのステップが必要です。
 

ステップ1|各都道府県の自動車整備振興会に受験申請する

申請に必要なものは以下の通りです。

・登録試験受験申請書
・証明写真(タテ6.0㎝×ヨコ4.5㎝)
・受験手数料
・郵便はがき 4枚(学科試験のみの場合は2枚)
・受験資格証明(卒業証書や実務証明書など)
 

ステップ2|自動車整備技能登録試験を受験

自動車整備技能登録試験は、「学科試験」と「実技試験」とがあります。
実技試験は、専門学校や工業高校、大学の機械科等を卒業している場合、免除されるため、受験生の多くが学科試験のみとなります。

また、2級、3級の学科試験は筆記試験のみ、1級の学科試験は筆記試験と口述試験があります。

・3級自動車整備士の学科試験:30問(60分)
・2級自動車整備士の学科試験:40問(80分)※2級シャシ整備士のみ30問(60分)
・1級自動車整備士の学科試験:50問(100分)
 

ステップ3|各都道府県の自動車整備振興会で全免申請

申請に必要なものは以下の通りです。(神奈川県の例)
※地域により異なりますので詳細は各都道府県の自動車整備振興会にお問い合わせください。

・検定申請書
・学科試験合格証書
・整備技能講習修了証書(または種養成施設卒業証書)
・郵便はがき 2枚
・2級を受験した場合は、3級整備士合格証書
・1級を受験した場合は、2級整備士合格証書
・必要に応じて実務経験証明書や検定申請書、卒業証書
・印鑑
・申請料
 

ステップ4|自動車整備士の合格証書受け取り

自動車整備振興会への全免申請後、自動車整備士の合格証書が手元に届き、晴れて自動車整備士の国家資格を取得したことになります。




自動車整備士に向いている人とは

自動車整備士として活躍するには、車が好きなことや機械関係に抵抗がないことが大前提です。ですが、専門性の高い仕事なだけに、“好き”だけでは務まりません。
自動車整備士には、どのような人が向いているのでしょうか?
 

車の仕組みや構造に興味がある方

車の整備や修理には、自動車の構造や仕組みを理解する必要があります。また、エンジンやサスペンションなどを分解して整備することもあるため、自動車に限らず、機械や部品を組み立てるのが好きだったり、仕組みに興味がある方は適性が高いと言えます。
 

探究心や好奇心がある方

ハイブリッド車や電気自動車、自動運転機能など、自動車は時代に応じて刻々と進化を遂げています。そうした進化や変化に柔軟に対応しながら、自動車の未来を想像できるような好奇心や探究心溢れる方は整備士に向いています
 

手先が器用で忍耐強く作業を続けられる方

自動車整備士の仕事は、パーツを分解して修理し、修復する能力が求められます。
大きなパーツから小さなものまで多種多様な部品を扱うため、手先の器用さは仕事をする上で有利になります。小さい頃から工作をしたりやプラモデルを作るのが好きだった方や機械いじりが好きな方は、整備士としての適性があると言えます。
また、大きな自動車から小さなパーツを取り出して修理する作業は、地味で時間もかかります。そうした地道な作業に黙々と取り組める方が向いているでしょう。
 

コミュニケーション能力が高い方

自動車整備士は、黙々の作業をして、あまり人と関わらないと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
お客様から自動車の不具合の状況や困っていることを聞き出し、必要な整備や装備品を丁寧にご案内するのも整備士の大切な仕事のひとつです。

また、整備の仕事は決して一人では行えず、チームワークを取りながら進めていきます。
自動車整備士の仕事には、お客様や一緒に働くスタッフとの関係性、細やかなコミュニケーションが必要不可欠なのです。



まとめ

ハイブリッド車や自動運転など、年々進化を遂げる自動車業界。
それに伴い、自動車整備士の需要は今後高まると言われています。

国家資格のひとつである自動車整備士は、取得することで仕事の幅やキャリアがぐんと広がる資格。
資格の種類によって、携われる仕事の範囲が変わったり、触れることのできる自動車の種類が変わるため、「どのような仕事をしたいか」「どのようなキャリアを描きたいか」などを考えたうえで、取得を検討すると良いでしょう。

ぜひご自身のキャリアに合わせた資格取得を目指していただき、自動車の未来を支える存在としてご活躍されることを祈っています。


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